従業員が突然飛んだ!音信不通になったら

ある日突然、従業員が出勤してこない。

電話も出ない。LINEも既読にならない……。

「まさか、飛んだ?」

そんなとき、企業としてどのように対応すればよいのでしょうか?

すぐに「退職とみなす」「解雇だ」と決めつけるのはとても危険です。


「飛んだ=退職・解雇」と決めつけるのは危険!

連絡が取れなくなったからといって、即座に「退職した」「解雇だ」と判断するのは避けましょう

実際には、事件や事故、病気など、本人の意思とは無関係の理由で連絡が取れなくなっているケースもあります。


勝手に解雇すれば「無効」になるリスクも

特に、本人が事故や急病で入院していた、というような事情が後から判明した場合、不当な解雇をしたとしてトラブルになるおそれがあります。

そもそも、解雇は使用者の一方的な意思表示によってされますが、民法97条第1項が、「意思表示はその通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる」と定めており、相手型に到達しない限り、効力が発生しない点にも注意が必要です。

後に本人が現れ、「不当解雇だ」と主張された場合、会社側が不利になる可能性が高くなります。

実際に、裁判例でも「正当な理由なく解雇した」と判断され、解雇無効とされた例は多数あります。


まずは「手段を尽くして連絡を取る」

大切なのは、**「会社が誠実に対応したか」**です。以下のような対応をとりましょう。

• 本人の携帯電話・メール等への連絡

• 自宅への訪問

• 緊急連絡先(家族など)への連絡

• 登録住所宛てに書面での通知(内容証明郵便が望ましい

特に書面による通知は、証拠として残るため、後の対応にも役立ちます。


それでも連絡が取れなければ、就業規則に則って対応

それでもまったく連絡がつかず、無断欠勤が続いた場合には、就業規則に基づいた手続きを進めましょう。

例えば就業規則に「○日以上無断欠勤が続いた場合は懲戒処分の対象とする」などの記載がある場合は、その規定に則って処理することができます。

また、退職の意思表示がないまま連絡がつかない場合でも、就業規則で「○日以上無断欠勤し、かつ出勤の意思がないと認められるときは自然退職とする」といった条項があれば、それに従って自然退職扱いとすることが可能です。


連絡が取れないときの例外的手段

「自然退職」の規定がある場合には、一定の事実により当然に退職となりますが、

「解雇」は意思表示によるものであり、従業員本人に到達しない限り効力は発生しません。家族であっても、本人以外への到達は本人への到達とは言えません。

そうなった場合、一切解雇できない訳ではありません。

「公示送達」という方法があります。これは、裁判所の手続きを通じて、通知を「公告」する形で行うものです。専門的な手続きが必要ですが、やむを得ない場合には検討する価値があります。


まとめ:焦らず冷静に、記録を残して誠実な対応を

従業員が突然いなくなると、職場に混乱が生じがちですが、対応を誤ると法的なリスクが伴います。

大切なのは、「会社がどれだけ誠実に連絡を試み、適切な手続きを踏んだか」です。

会社としては焦らず冷静に、以下のような対応を心がけましょう。

• まずは安否確認、連絡手段の確保

• 書面や家族への通知を記録に残す

• 就業規則に則って慎重に処理

• 必要に応じて法的手続きの活用

適切な対応を取ることで、会社を守り、従業員にとっても納得のいく結果につながるでしょう。


もし無断欠勤や退職トラブルでお困りの方は、クラリ社会保険労務士事務所までお気軽にご相談ください。実務に即したアドバイスで、円満解決をサポートいたします。

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