パート・アルバイトは有給なし?本当?
「パートやアルバイトには有給休暇がない」と思い込んでいませんか?
実際に、職場でこんなやり取りが行われることがあります。
【事例①】
週3日勤務のアルバイトAさんの場合
Aさん:「店長、来月ちょっと用事があるので有給を使いたいんですが…」
店長:「え?有給は正社員だけだよ。アルバイトには無いよ。」
Aさん:「……そうなんですか。」
このやり取り、実は法律違反の可能性があります。
なぜなら、労働基準法では「正社員」「パート」「アルバイト」といった区別なく、一定の条件を満たしたすべての労働者に有給休暇を与えなければなりません。
労働基準法に定められた有給休暇のルール
労働基準法第39条では、以下の条件を満たせば、有給休暇が発生します。
■ 有給発生の条件
・雇い入れから6か月継続勤務していること
・その期間の出勤率が8割以上
この条件をクリアすれば、パート・アルバイト問わず有給休暇は自動的に発生します。週の労働日数が少ない場合でも、勤務日数に応じて比例付与されます。
有給休暇は「言わないともらえない」?
実はここが落とし穴!
有給休暇は、発生すれば自動的に与えられる権利ですが、「使いたい」と自分で申し出ない限り、会社から積極的に案内されることは少ないのが現状です。
有給は、労働者からの申請が原則です!
【事例②】
パートBさん(勤続5年)のケース
Bさん:「有給があるなんて知らなかった…入社してから1度も使ったことがない…!」
有給休暇は、入社から半年後、その後は1年ごとに要件を満たした場合に、法定の日数が付与されます。
さて、Bさんの場合、5年間1度も使用していなかったということは、今までの分をまとめて付与されるのでしょうか?
答えはN Oです。
有給休暇は発生しても、2年で時効消滅してしまいます(労働基準法第115条)。使わずに放置していると、せっかくの権利が失われてしまうのです。
「うちの会社には有給がない」は通用しない!
「うちの会社は、有給休暇はない」
「有給休暇は正社員だけ」
「パート・アルバイトに有給なんて与えてないよ」
このように話す会社も少なくありません。しかし、これは明確な法律違反です。
労働基準法は、労働者保護のために国が定めた最低限の基準であり、これを下回る取り決め(就業規則・労働契約)は無効となります(労働基準法第13条)。
■ 強行法規とは?
労働基準法は、会社と労働者の合意があっても**「法律に反する内容は無効」**とする、強制力のあるルールです。
例えば…
【事例③】
「就業規則に有給なし」と記載があるC社の場合
C社の就業規則:「当社はパート・アルバイトには有給休暇を与えないものとする。」
このような規定があったとしても、労働基準法の規定に反するため無効です。
実際には、C社で働くパート・アルバイトにも、法律通り有給休暇が発生しています。
もし有給を拒否されたら?
・自分の有給日数を確認する
→ 勤務開始日と出勤状況をもとに計算できます。
・会社に権利を主張する
→「労働基準法第39条に基づき、有給休暇の取得を希望します」と伝えましょう。
・時効に注意!
→ 有給は発生から2年で消滅します。気付いたときには消えていた…ということがないよう、早めに使うことが大切です。
・改善されない場合は行政や専門家へ相談
→ 労働基準監督署や、社会保険労務士に相談することで解決策が見つかります。
まとめ
パート・アルバイトでも法律上、有給休暇は必ず発生する。
有給は、自分で使う意思を伝えないと消えてしまう可能性がある。
有給休暇は発生から2年で時効となるため、計画的に取得することが重要。
「会社ルールだから有給はない」という説明は無効。法律が優先される。
トラブル時は、専門家に早めに相談!
当事務所「クラリ社会保険労務士事務所」では、
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