障害年金がもらえる精神疾患・もらえない精神疾患
精神疾患によって日常生活や仕事に大きな支障をきたしている方の中には、「自分も障害年金をもらえるのでは?」と考える方も多いでしょう。しかし、すべての精神疾患が障害年金の対象になるわけではありません。今回は、障害年金がもらえる精神疾患・もらえない精神疾患について、具体例を挙げながら解説します。
1. 障害年金がもらえる精神疾患とは?
障害年金は、「日常生活や社会生活に著しい制限がある」場合に支給される制度です。精神疾患については、以下のような病名が対象になることが多いです。
対象となる主な精神疾患(例)
• 統合失調症
• うつ病(気分障害)
• 双極性障害(躁うつ病)
• 発達障害(自閉症スペクトラム、ADHDなど)
• 知的障害
• 認知症
• てんかん
事例紹介
▶ 事例①:うつ病で就労困難に
長年うつ病を患い、外出もままならず、就労が困難な状態が続いているAさん。主治医の診断書により「日常生活に著しい支障がある」と認められ、障害基礎年金2級が支給決定。
▶ 事例②:発達障害による社会生活の困難
発達障害(ASD・ADHD)を持つBさんは、対人関係や業務の遂行が極めて困難で、何度も職場を転々としていたが、適切な診断と申請により障害年金の受給が認められた。
2. 障害年金がもらえない精神疾患とは?
一方で、精神疾患であっても**「症状が軽度」または「社会生活に大きな支障がない」と判断される場合**は、障害年金の対象になりません。また、そもそも対象外とされやすいケースも存在します。
対象外となる主なケース(例)
• 神経症(不安障害、パニック障害、強迫性障害など)
原則として神経症は障害年金の対象外ですが、日常生活に著しい支障がある場合には認められるケースもあります。
• 軽度のうつ症状
通院はしているものの、働けている・日常生活がある程度送れている場合は対象外になることが多いです。
• 短期間で改善する適応障害
一時的な環境要因で発症し、治療により改善している場合は対象外になることが一般的です。
事例紹介
▶ 事例③:パニック障害での申請
Cさんはパニック障害で通院中。しかし、日常生活は家族の支援なしでも送れており、週3日のパート勤務が可能な状態。結果、障害年金は不支給となった。
▶ 事例④:軽度のうつ状態
Dさんは気分の落ち込みで通院していたが、日常的に買い物や家事が可能で、就労も継続中。医師の診断書にも「軽度の支障」と記載され、申請しても不支給となった。
3.神経症が障害年金の対象にならない理由 ~厚生労働省の審査基準から~
精神疾患による障害年金の申請において、「神経症は対象外になることが多い」と言われます。これは、単なる通説ではなく、厚生労働省が定める障害年金の認定基準に明確な理由があります。
■ 厚生労働省の「障害認定基準」とは?
障害年金の支給にあたっては、厚生労働省が定める「障害認定基準」に基づいて審査が行われます。精神の障害については、次のように記載されています。
■ 神経症に関する記載(抜粋)
「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」
神経症にあっては、原則として認定の対象としない。ただし、症状が長期にわたり持続し、かつ日常生活能力の判定及び程度が認定基準に該当すると認められる場合には、認定の対象とすることができる。
(出典:厚生労働省「障害年金の障害認定基準」)
■ なぜ神経症は対象外なのか?
神経症(不安障害、パニック障害、強迫性障害など)は、一般的に適切な治療を行えば改善が期待できるとされています。そのため、原則として「一時的な症状」とみなされる傾向があり、障害年金の対象とはなりにくいのです。
しかし、例外的に以下のような場合には対象になることがあります。
■ 神経症でも認定されるケース
• 症状が長期にわたり改善しない
• 日常生活が著しく制限され、常に支援が必要な状態
• 他の精神疾患(例:うつ病や発達障害など)を併発している場合
▶ 例:重度の強迫性障害
手洗いや確認行為が止められず、外出が困難で、日常生活全般に家族の支援が常時必要な場合、強迫性障害でも障害年金が認められる可能性があります。
4. 判断のポイントは「日常生活への支障の程度」
障害年金の支給可否は、**病名そのものではなく、「どれだけ日常生活や仕事に支障があるか」**が重要です。同じ病名でも、症状の重さによって結果が大きく異なります。
また、診断書の内容が非常に重要であり、専門的な視点での記載がなされていない場合、受給が難しくなることも。
5. まとめ ~専門家への相談が安心~
精神疾患による障害年金の申請は、判断基準が非常に複雑であり、自己判断で申請すると「不支給」になるリスクが高まります。
特に、神経症や軽度のうつ病など、グレーゾーンのケースでは、適切な準備と申請が不可欠です。
もし、
• 自分の病気が対象になるのか分からない
• どうやって申請すればよいか不安
• 過去に申請して不支給になった
という場合は、ぜひ障害年金に強い専門家にご相談ください。
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