派遣労働って大丈夫?働く側も雇う側も気をつけたいポイント
~正社員型と登録型の違いも解説~
こんにちは、クラリ社会保険労務士事務所です。
今回は「派遣労働」について取り上げます。
「派遣社員って、正社員とはどう違うの?」「いつ契約が切られても仕方ない働き方なの?」
こうした不安を持つ方も多いと思います。実は、「派遣」といっても働き方のスタイルによって大きく2つに分かれるのをご存じでしょうか?
今回は、よく混同されがちな「正社員型派遣(常用型派遣)」と「登録型派遣(一般派遣)」の違いを含め、働く人・企業どちらにも役立つ情報をお届けします。
■ 派遣労働とは?
派遣労働とは、派遣元(派遣会社)に雇われて、派遣先企業で実際に働くスタイルのこと。
法律上、労働者に対して指揮命令を出すのは派遣先企業ですが、雇用主はあくまでも派遣元(派遣会社)です。
■ 正社員型派遣と登録型派遣の違い
派遣労働には主に以下の2つの働き方があります。
▶ 正社員型派遣の特徴
派遣会社と無期雇用契約を結んでいるため、派遣先が決まっていない期間も賃金が支払われるなど、雇用の安定性が高いのが特徴です。
一方、異動が多い・希望とは違う業務に配属される可能性もあるため、柔軟性も求められます。
▶ 登録型派遣の特徴
働きたいときに働ける柔軟性が魅力ですが、派遣期間が終われば契約も終了。
収入も安定せず、キャリア形成がしづらい一面もあります。
副業や短期で働きたい人には向いています。
■ 派遣でよくある誤解
「派遣だと社会保険に入れない?」
→ 条件を満たせば加入可能!
正社員型派遣はもちろん、登録型派遣でも加入要件を満たせば、健康保険・厚生年金・雇用保険すべて加入可能です。
「正社員型の方が待遇がいい?」
→ 一概には言えません。
給与や福利厚生、キャリア支援などは派遣会社によって差があります。登録型でも優良企業なら待遇が良いケースもあります。
■ 実際に起きやすい派遣労働トラブル
✅ ケース①:登録型派遣で雇止め
派遣先での仕事が終了。「次の派遣先は?」と聞いたら「今はない」と即失業。
→ 有期契約のため、派遣期間終了=雇用終了が原則。
ただし、繰り返し契約更新していた場合は「実質的な常用雇用」と認定されることも。
✅ ケース②:派遣先で不当な扱い
派遣社員だからと説明もなく雑務ばかり。
→ 均等・均衡待遇の原則違反の可能性があります。
派遣法では、派遣先正社員と比較して不当な差別的待遇をしてはならないと定められています。
■ 派遣先企業の注意点
企業側が派遣を利用する際にも注意が必要です。
• 労働者派遣契約の締結
• 派遣先管理台帳の作成
• 派遣法に基づく3年ルールの遵守
• “偽装請負”と見なされると違法(指揮命令権のある契約外の委託など)
法令違反があれば、派遣元だけでなく派遣先企業も行政指導・処分対象となることがあります。
■ まとめ:派遣という働き方を正しく理解しよう
派遣労働は、「柔軟な働き方がしたい」「いろんな経験を積みたい」などニーズに応える制度です。
一方で、契約内容の不明確さや労働条件の格差など、トラブルに発展しやすい側面もあります。
働く側は、自分の雇用形態(正社員型か登録型か)をきちんと理解すること。
雇う側は、派遣法に基づいた正しい運用を行うこと。
これが、派遣制度を有効に活かす第一歩です。
■ 派遣労働に関するご相談はクラリ社会保険労務士事務所へ
「この契約内容って妥当なの?」「正社員型派遣を検討したいが、注意点は?」
派遣労働にまつわるご不安・ご相談は、クラリ社会保険労務士事務所にお気軽にお問い合わせください。
労働者側・企業側、どちらの立場にも寄り添った実務的なアドバイスをご提供いたします。
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