社保完備されていないと社会保険は入れないの?

「社保完備」と求人票に書いていない会社に就職すると、社会保険に入れないの?――こんな疑問をお持ちの方、多いのではないでしょうか。

結論から言えば、「社保完備」と書かれていなくても、条件を満たせば会社は社会保険に加入させる義務があります。実際には求人情報の書き方と、法律上の義務との間にギャップがあることもあります。

今回は、社労士の立場から「社保完備」の意味と、社会保険の加入条件について解説します。


「社保完備」って何?

「社保完備」とは一般的に、以下の4つの社会保険制度すべてに加入できることを意味するとされています。

• 健康保険

• 厚生年金保険

• 雇用保険

• 労災保険

ただし、法律的には「社保完備」という言葉に明確な定義はありません。中には「労災保険しか加入していないのに“社保完備”と記載していた」などのケースも報告されており、注意が必要です。


法律上、社会保険の加入は“義務”です

企業は、一定の条件を満たす従業員を雇用した場合、必ず社会保険に加入させなければなりません。これは会社の任意ではなく、法律で定められた義務です。

健康保険・厚生年金保険

原則として法人企業や、**常時5人以上の従業員がいる個人事業所(一定業種)**では、常用雇用されている人(正社員・週30時間以上のパート等)を社会保険に加入させなければなりません。

雇用保険

1週間の所定労働時間が20時間以上、31日以上の雇用見込みがある場合に、雇用保険の加入対象です。

労災保険

労働者を1人でも雇えば必ず適用されます。パート・アルバイトも対象です。


「求人票に書いてない=入れない」は誤解!

求人票や会社案内に「社保完備」と書いていないからといって、入社後に社会保険に入れないとは限りません。

むしろ、労働時間や雇用形態が基準を満たしている場合は、会社側に加入義務が発生しています。記載ミスや、そもそも制度を理解していない会社も少なくありません。


社会保険に加入させない会社のリスク

社会保険加入義務を無視している会社には、次のようなリスクがあります:

• 年金事務所や労働局の調査により、過去にさかのぼって保険料を徴収される

• 法令違反による行政指導や企業イメージの低下

• 労働者が病気や事故の際、保障を受けられず大きなトラブルになることも


求職者・従業員ができること

もし、あなたが社会保険の加入対象であるにもかかわらず、会社から加入を拒否されている場合には、以下の対応が考えられます。

• まずは会社に確認し、加入義務について説明を求める

• 改善が見られない場合は、年金事務所や労働基準監督署に相談する

• 社会保険労務士に相談し、アドバイスを受ける


まとめ

「社保完備」と書いていないからといって、社会保険に加入できないとは限りません。むしろ、法律に基づいて加入しなければならないケースが多数あります。

社会保険に加入できるかどうかは、「求人票の記載」ではなく、雇用条件と労働実態がポイントです。

少しでも不安がある場合は、専門家に相談するのが安心です。

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