労働契約と業務委託契約の違いとは? ―「雇用」と「フリーランス」はここが違う
こんにちは。クラリ社会保険労務士事務所です。
「社員ではないけれど、うちの業務をお願いしている人がいる」
「フリーランスとして契約しているけど、働き方は社員と変わらない気がする」
最近、企業・個人問わずこういったご相談が増えています。
今回は、実務でもトラブルの多い
「労働契約」と「業務委託契約」の違いについて、社労士の視点からわかりやすくご説明します。
📌 そもそも「労働契約」と「業務委託契約」って何が違うの?
まず、それぞれの基本的な定義を簡単に整理してみましょう。
労働契約とは?
労働者が使用者(会社など)に「雇われて」働く契約です。
・働く時間や場所は会社が決める
・会社の指示に従って業務を行う
・給与は働いた時間に応じて支払われる
法律的には、労働基準法などの労働法が適用され、
最低賃金・残業代・社会保険など、さまざまな保護があります。
業務委託契約とは?
業務の一部を「外部に依頼する」契約で、フリーランスや外注先に多い形です。
・成果物の納品や業務の完了が目的
・やり方・働く時間は依頼先の自由
・労働法の保護は基本的に対象外
契約の種類には「請負契約」や「準委任契約」があり、主に民法に基づいて結ばれます。
🔍 どう違う?実務上のポイント
以下に、労働契約と業務委託契約の主な違いを、文章でご紹介します。
● 契約の種類
労働契約は「雇用契約」、業務委託契約は「請負」「準委任」など民法上の契約。
● 指揮命令の有無
労働契約では会社が「何を」「どう」「いつやるか」などを指示できます。
業務委託契約では、成果を求めるのみで、やり方に指示はできません。
● 勤務時間や場所の制約
労働契約は、出勤時間や勤務場所を会社が指定します。
業務委託契約は、働く時間・場所は原則自由です。
● 報酬の性質
労働契約では時間に応じた給与(例:月給・時給)。
業務委託契約では「成果」や「業務完了」に対して報酬が支払われます。
● 社会保険・労災
労働契約では会社が保険料を折半し、健康保険・厚生年金・労災保険などが適用されます。
業務委託契約は原則、自分で国保・国民年金に加入し、労災の対象外です。
⚠️ 境目があいまいなケースに注意
最近は「名ばかりフリーランス」も増えています。
たとえば…
• 実際は出勤・退勤時間を会社が管理している
• 指示された業務しかできない
• 報酬が時給で、月末にまとめて支払われている
• 自社パソコンやアカウントを使用している
こうした場合、形式上は業務委託でも、実態が「労働契約」だったと判断される可能性があります。
実際、裁判や労働審判でも「労働者性あり」とされるケースは増えており、
企業側が未払い残業代や社会保険の遡及加入を求められることも。
🧾 トラブルを防ぐために大切なこと
事業者・個人のどちらにとっても重要なのは、
✅ 契約書の中身を明確にすること
✅ 実態と契約内容が一致していること
✅ 双方が「雇用なのか外注なのか」を正しく理解していること
契約書のテンプレートだけでは不十分なことも多いため、専門家によるチェックをおすすめします。
👩💼 まとめ:自由な働き方だからこそ、ルールを正しく知る
「雇う側も、働く側も、安心してやりとりできる契約関係」こそが健全な労務管理の第一歩です。
クラリ社会保険労務士事務所では、
• フリーランスとの業務委託契約のチェック
• 労働者性の判断やリスク診断
• 雇用・外注の切り分けのご相談
• トラブル予防の契約書整備
などを、事業者・個人問わずサポートしています。
「この働き方って、どっちなんだろう?」と感じたときは、お気軽にご相談ください。
クラリ社会保険労務士事務所
代表 氏川ま巳央(社会保険労務士)
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