タイムカード、15分単位の足切りをされるのはいいの?

こんにちは、クラリ社会保険労務士事務所です。

クライアントの方からよくいただくご相談のひとつに、「ウチの会社、タイムカードを15分単位で切り捨ててるけど、これって問題ありますか?」というものがあります。

今回は、「15分単位での足切り(切り捨て・切上げ)」が労働時間の管理として適法なのか、労働者・事業主の双方の立場から考えてみたいと思います。

結論から言うと、「切り捨て」はNGです。


「切り捨て」とは?

たとえば、ある従業員が9時52分に出勤しても、タイムカード上では10時出勤として処理される――

こうした15分単位での切り捨て処理が俗にいう「切り捨て」です。

企業としては「処理が簡単」「人件費を抑えられる」などの意図があるようですが、これは本当に合法なのでしょうか?


労働時間は「実際の労働提供時間」が原則

昭和63年3月14日 基発第150号通達(厚生労働省)は、

労働時間の適正な把握のためには、客観的で実態に即した管理が必要だと明言しています。

📌「使用者は、労働者の始業・終業時刻を現認するなどにより、実際の労働時間を適正に把握しなければならない。」

つまり、実際に労務が提供された時間こそが労働時間であるというのが国の公式な見解です。


15分単位での切り捨ては原則NG

結論から言えば、以下のような処理は法的に問題があります。

• 出勤:9時52分 → 10時に切り上げ → 8分の労働がなかったことに

• 退勤:18時07分 → 18時に切り捨て → 7分の労働がなかったことに

これらは「実労働時間の未計上」=賃金不払いのリスクがあり、

労働基準法第24条(賃金の全額払いの原則)にも違反する可能性があります。


誤解されがちな「一定の端数処理」

日々の労働時間は1分単位で計算する必要があります。

ただし、労働時間の計算において「1か月単位」で1分単位の集計が大変な場合、

以下のような端数処理は認められています。

• 1日ごとに1分単位で記録

• 月間の集計時に30分単位で端数処理(四捨五入)

しかしこれはあくまで実態を把握したうえでの、賃金計算時の便宜的処理であり、日毎の管理において「労働時間の記録自体を切り捨てる」ような処理は不適切とされます。


もし労基署に通報されたら?

労働基準監督署の調査において、15分単位での切り捨て処理が常態化している場合、

• 是正勧告(未払い賃金の支払い)

• 過去3年分の遡及指導(時効内)

が行われることもあります。

また、元従業員による訴訟や労基署申告も年々増えています。


社労士からのアドバイス

企業としては以下の対応が望まれます:

項目 内容

✅ 勤怠記録 タイムカードやPCログで1分単位の記録を残す

✅ 労務実態の反映 実際に労働が行われた時間を労働時間とする

✅ 就業規則見直し 「15分単位」などの記載があれば改訂を検討

✅ システム設定 勤怠ソフトの丸め設定を見直す


まとめ

「足切りだから少しくらい大丈夫」という考えは、

今の労務管理の視点では通用しません。

昭和63年基発150号が示す通り、「労働時間の適正な把握」こそが、企業と従業員の信頼関係を守る第一歩です。

クラリ社会保険労務士事務所では、勤怠管理の見直しや就業規則の整備、未払い残業代対策など、事業主様・従業員様の双方にとって納得のいく運用をご提案しています。お気軽にご相談ください。


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