未払い残業代請求、実際にあった事例と防止策 ~タイムカード・システム管理の工夫でトラブルを防ぐ~
残業代の未払いは、経営者や人事担当者にとって大きなリスクです。
近年は労働者側の知識向上やインターネットでの情報共有により、退職後にまとめて請求されるケースが増えています。
ここでは実際にあった事例と、防止のための勤怠管理のポイントをご紹介します。
実際にあった未払い残業代請求の事例
事例1:終業後の“自主的”残業がカウントされていなかった
社員が「自主的に」行っていた片付け・メール返信の時間を残業として申請していなかったが、退職後に証拠(メール送信時間や監視カメラ映像)を提示し、過去2年分の残業代を請求。
会社側は「指示していない」と主張したが、業務上必要と認められ支払い命令。
事例2:タイムカード打刻後の作業が常態化
タイムカードで定時退社の記録になっているが、打刻後に片付けや引き継ぎ作業を行う慣習があった。
元社員がスマホの録音やメモで勤務時間を記録しており、これが証拠として採用され未払い残業代が認定。
事例3:管理職への残業代未払い
“管理職”として残業代を支払っていなかったが、実際は経営上の権限がなく、名ばかり管理職と判断され支払い命令。
残業代と遅延損害金を含め、数百万円規模の支払いに。
防止策:タイムカード・勤怠システム管理の工夫
1. 打刻と実際の退勤を一致させる仕組み
• 打刻後の業務を禁止し、徹底的に周知
• セキュリティカード入退室記録と打刻データを突合してチェック
2. 残業は必ず事前申請・承認制に
• システム上で上司承認を必須に
• 緊急時の対応ルールも明文化
3. “自主的残業”をなくす業務設計
• 業務量の平準化と進捗管理の見直し
• 帰宅を促すアナウンスやPC強制シャットダウン機能の活用
4. 勤怠データの定期確認と保存
• 毎月の勤務時間チェックをルーチン化
• データは5年以上保存(法定時効を超えて請求されるケースに備える)
5. 管理職の定義を明確に
• 職務権限・給与水準・労働時間管理の有無を基準に
• 名ばかり管理職化しないよう、就業規則と人事制度を整備
まとめ
未払い残業代のトラブルは、「記録」と「ルール」の不備から起こります。
勤怠管理システムを正しく運用し、証拠が残る環境を作ることで、後からの請求リスクを大きく減らせます。
クラリ社会保険労務士事務所では、就業規則の整備から勤怠管理の運用改善までトータルでサポートしています。
早めの対策で、労務リスクを最小限に抑えましょう。
クラリ社会保険労務士事務所では、愛知県津島市を拠点に、障害年金の請求代行をはじめ、労働トラブルのご相談や就業規則の作成・見直しなど、幅広い社会保険労務士業務を行っています。
特に障害年金については、多数のご依頼をいただいており、初回のご相談から丁寧にサポートいたします。
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